ニュースの概要

AAK、Bühler、Givaudan、Ingredionの4社が、アジア太平洋地域のヘルシースナック開発プログラム「Healthy Snacks Challenge 2027」に参加する5社を発表した。選ばれたのは発酵技術を軸にする企業群だ。シンガポールの企業は液体発酵でたんぱく質と食物繊維の素材を開発し、日本の企業は米こうじを使った固体発酵のマイコプロテインを手がける。さらに固体発酵でたんぱく質の質や消化のしやすさを高めた原料システムの企業も入った。大手の原料メーカーが、発酵を使う新興勢力に試作の場を開く形である。

引用元: アジア太平洋のヘルシースナック開発で発酵技術を活用する5社を選出(Asia Food Beverages)

分析・見解

発酵は味づけから、栄養の材料づくりへ広がった

発酵と聞くと、ヨーグルトや味噌のように、食品そのものを作る技術を思い浮かべる人が多い。今回選ばれた企業の顔ぶれは、その見方を一段広げる。発酵を使って、たんぱく質や食物繊維といった栄養の「材料」そのものを作っているからだ。

スナックは長く、油と塩と糖で満足感を出す食べ物だった。栄養を足す方法も、豆やナッツの粉を混ぜるやり方が中心だった。ただ、それでは食感が崩れたり、青臭さが残ったりしやすい。発酵素材は、この弱点を別の道から解こうとしている。

液体発酵と固体発酵、狙いの違いはどこにあるか

今回の発表では、二つの発酵方式が並んだ。液体発酵は、タンクの中の液体で微生物を育てる方法である。量を安定して作りやすく、品質もそろえやすい。シンガポールの企業は、これをたんぱく質と食物繊維の素材づくりに使う。

一方、固体発酵は、穀物のような固い原料の上で微生物を育てる方法である。日本の企業は、米こうじを使った固体発酵でマイコプロテイン(=菌糸から作るたんぱく質)を手がける。米こうじは日本で古くから食べられてきた菌であり、食品としての安全性を説明しやすい。もう一社は、固体発酵でたんぱく質の質、食物繊維、消化のしやすさを同時に高める原料の仕組みを持つ。液体は量と均一さ、固体は風味と栄養の厚み。強みの置き場所が違うのが面白い。

腸活の入り口が、ヨーグルトから間食へ移る可能性

これまで腸活の主役は、ヨーグルトや発酵飲料だった。毎日続けやすい反面、食べる場面は朝食や食後に偏りがちだ。スナックは、すでに生活の中にある「間食」という習慣に乗れる。たんぱく質と食物繊維を一緒に取れるなら、腸と筋肉の両方を気にする層にも届く。

ただし、ここには落とし穴がある。発酵素材を使ったというだけで、腸に良いとは言えない。素材に含まれる量や働きは、製品ごとに大きく違う。数字で示せる商品だけが、棚に残るだろう。

大手4社が揃う意味と、量産までに残る壁

今回の主催側は、油脂、加工機械、香料、食品素材と、役割の違う4社である。スナックは素材だけでは完成しない。香りでにおいを抑え、機械で形を整え、油脂で口当たりを仕上げる。この連携が早いほど、試作から量産までの時間は縮む。

一方で壁も残る。発酵素材は価格がまだ高く、供給量も限られる。発酵特有のにおいをどう抑えるかも課題だ。さらにアジア太平洋は、新しい食品素材の審査が国ごとに違う。一つの国で売れても、隣の国では販売できない場合がある。技術の良し悪しより、この地味な調整力が勝敗を分ける可能性が高い。

ビジネスへの影響

まず既存スナックの一部で小さく試作する

発酵素材は、価格も供給量もまだ発展途上である。全面採用を狙うより、既存の商品に一部だけ混ぜる試作から始めるのが現実的だ。たとえば、たんぱく質を数グラム足した限定シリーズを出し、食感の評価と買い直し率を見る。素材メーカーにとっても、実際の商品で使われた実績は何よりの営業材料になる。この段階で複数の素材を比べておけば、後から調達先を切り替えやすい。

腸活の表現は事実と数字で組み立てる

腸活をうたう商品では、言いすぎが最大のリスクになる。機能性表示食品の届出がない限り、「腸内環境が整う」といった効果は言えない。「発酵由来の食物繊維を含む」「たんぱく質を1食あたり◯g配合」のように、事実を数字で示す書き方が安全である。輸出を考えるなら、国ごとの表示ルールも早めに確認したい。

売り場と情報発信は間食の棚へ広げる

小売やメディアの担当者は、腸活を発酵食品の売り場だけで語らない視点が要る。間食の棚に「たんぱく質」「食物繊維」「発酵」の三つを並べて訴求すれば、新しい買い手に出会える。情報発信でも、ヨーグルトの選び方だけでなく、間食で腸を助ける方法まで話題を広げると、検索の入り口が増える。

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